A17:日本が次期京都議定書に参加しなかったのは
・南アフリカのダーバンで開催されたCOP17(平成23年)では、次のような合意がなされました。
(1)京都議定書第2約束期間の設定と日本の不参加
(2)米中印を含むすべての国が参加する将来の枠組みに向けたプロセス
(3)カンクン合意に引き続き、各国の中期目標に「留意」すること等
・日本政府の立場は、米中を含む主要経済国に削減義務が課されていない京都議定書の「単純延長」はしないというもので、「全ての主要排出国が参加する公平かつ実効的な国際的枠組み」の構築でした。
・すべての国が参加する2020年以降の将来枠組みの具体的な内容はこれからの交渉で決まります。
・アメリカは京都議定書を批准していないため削減義務は課されていない。したがって、京都議定書の第一約束期間(2008~2012年)において温室効果ガスの削減義務を負う国は、日欧など現在の世界全体の排出量の27%しかカバーしておらず、2050年には2割を下回ると見込まれている。
・このまま第二約束期間の設定という形で京都議定書がひとたび延長されれば、削減義務を負う国が固定化し、義務を負わない国々からの排出を抑制する手立てがなくなり、地球温暖化の防止に逆行する。
・また、経済がグローバル化する中で、一部の国だけに削減義務を課せば、削減義務を負わないより非効率な国に生産が移転し、かえって世界全体の排出が増加する、いわゆる「炭素リーケージ※」が生じる。
・従って、温暖化防止のためには、京都議定書に代わるすべての主要排出国が参加する単一で公平な新たな枠組が不可欠である。
※炭素リーケージとは
A国が厳しい削減目標で、他のB国が緩やかな削減目標となって、AB国間の排出コストに相違が生じた場合、規制水準の低い国B国への生産がシフトしてしまい、B国の温室効果ガス排出量が増加すること