A16:これからの国際交渉の流れは
・現在、地球温暖化への国際的な対応としては、①京都議定書に基づく第二約束期間の削減(日本は不参加)、②カンクン合意による2020年までの自主的な削減、③2015年にパリで採択予定の新枠組による2020年以降の削減、の三つが進んでいます。
・2013年11月にワルシャワで開催されたCOP19では、日本は原発の停止を踏まえ、カンクン合意で掲げた温室効果ガスの削減目標「90年比25%削減」を「2005年比3.8%削減」に変更しました。
・一方、米国、中国の削減目標をみると、それぞれ温室効果ガス17%削減(2005年比)、GDP1単位あたりのCO2削減40~45%(2005年比)であり、この二カ国で全世界の排出量の約4割を占めることを考えると、京都議定書に不参加であった両国が参加する新たな温暖化防止に向けた国際展開が期待されます。
・また、2014年の国連気候サミットでは、気温上昇を2℃以内に抑えるための政治宣言が公表される見込みです。
<地球温暖化対応への国際交渉の流れ>
<カンクン合意とは>
2010年メキシコのカンクンで行われたCOP16で取り決められた地球温暖化の対策に関する合意の主な内容は次のとおりです。
・京都議定書で定められた2013年以降の第2約束期間の基準年を90年とし、第1約束期間と第2約束期間の間に空白ができないよう作業部会は可能な限り早急の作業完了と採択を目指す。
・先進国全体で2020年までに温室効果ガスの排出量を1990年に比べて25~40%削減しなければならないことを認識し、先進国各国に削減目標数値を上げるよう促す。
・発展途上国は全体で2020年に温室効果ガスの排出総量の伸びを抑制することを目指し、ガス削減を検証する仕組みをつくり、また削減策を支援する「グリーン気候基金」を設立する。
・2050年までの世界全体の温室効果ガスの削減目標をCOP17(第17回国連気候変動枠組み条約締約国会議)で検討する。
・国連気候変動枠組み条約締約国は緊急に産業革命以降の気温の上昇を2℃未満に抑えるため行動し、世界全体の温室効果ガスの排出量ができるだけ早く減少になるよう全体で協力する。
(出所:人間科学大事典HPより)