推進員による事例発表① ESDに取り組む推進員 川島 伸治 様(北九州市) 

推進員による事例発表(平成26年11月23日(日):宗像ユリックス)

①ESDに取り組む推進員   川島 伸治 様(北九州市) 
演題:「持続可能な地域づくりを担う人材育成事業(環境省)の事例報告」

 2005年から世界中で取組みが進められている「国連ESD*の10年」(DESD)を締めくくる重要な国際会議「ESDユネスコ世界会議」が、2014年11月10日から12日まで名古屋市で開催されました。
今、 私たちの暮らしは文化の向上、経済の発展のおかげで、社会生活を送るうえで随分と便利になりました。しかしその反面、天然資源の枯渇や地球温暖化といった 地球規模の環境問題は、私たち大人が営んできた生活様式に原因があることは明らかであり、私たち自身が自らの意志で選択した結果とも言えます。このままで は、私たち大人のエゴを子どもたちに引き継ぐことになります。ほんとうに私たちは、この地球の自然を、その豊かな恵みを、子どもたちに残すことができるの でしょうか。また子どもたちは、この地球の自然を、その豊かな恵みを、そのまた子どもたちに委ねることができるのでしょうか。
 昨年度、環境省は ESDの視点を取り入れた環境教育を充実させる必要性から「持続可能な地域作りを担う人材育成事業」を文部科学省と共に非営利団体と連携して各都道府県で 実施しました。福岡県においては私が所属している“青い地球の会ブルーアース”が中心となり、春日市立日の出小学校と北九州市立曽根東小学校において当会 オリジナルのESDプログラムを実施しました。本稿では、干潟のゴミ拾い活動に関する北九州市立曽根東小学校で行ったプログラムについて簡潔に事例報告を します。
*ESD:Education for Sustainable Developmentの頭文字を取ったもので「持続可能な開発のための教育」のことです。

1.人材育成事業の背景
○平成23年6月に改正された「環境教育等促進法」が、平成24年10月から本格実施されたことを受け、学校、地域等における環境教育の充実が必要となった。
○リオ+20の成果文書において“ESD”を推進することが明記され、日本政府の「緑の未来」イニシアティブにおいても、「持続可能な社会を担う人材づくりや環境教育プログラムの作成等を一層推進する」こととされた。
○「国連ESDの10年」の最終年である本年に、ユネスコとの共催による「ESDに関するユネスコ世界会議」が日本で開催されるため、主催国としてのリーダーシップが必要であった。

2.北九州市立曽根東小学校におけるESDプログラム
 プログラムは、次表に示すとおり2回に分けて実施し、当会オリジナルの【エコシステム学習プログラム】をベースに、地域の特性を考慮してアレンジしたものにしました。
  具体的には、子どもたちに干潟の生きものになってもらい、子どもたちに頭からゴミのシャワーを浴びせ掛け、身の回りにゴミが散乱していたらどのような気持 ちになるのか体験してもらいました。そして、干潟の生きものとして人間たちへのメッセージを考え発表してもらいました。干潟の生きものになることで、いま まで考えてもいなかった事柄に気づき、この問題の解決をどうしようか、どうすればいいのか考え、そして自分の意見をメッセージとして発信するところまで行 いました。

北九州市曽根東小学校におけるESDプログラムの実施概要


①開催日時     平成26年1月18日(土)
②対象学年など    3~4時限目    4年生 約60名 2クラス合同
③主なプログラムの流れ
   曽根干潟で毎年2月に行われる野鳥観察会の事前学習として、干潟の大切さ、人間もその一部であることを感じ取れるプログラムとした。


①開催日時     平成26年1月28日(火)
②対象学年など  1~4時限目    4年生 約60名 2クラス別々
③主なプログラムの流れ
    曽根干潟の保全活動の一つとして行っているゴミ拾いについて、世界的な視野に立った大切な活動であることを認識するプログラムとした。




 

生態系カードゲームの様子(H26.1.18)

3.プログラムをとおして伝えたいこと
こ のようなESDプログラムをとおして子どもたちには、自分たちも地球市民のひとりであることを感じ取るとともに、本当はとても重要なことなのに日ごろの生 活の中で気づかないでいるもの、通り過ぎているものに気づくこと、目を止めることができるようになる『気づきのチカラ』を養ってもらいたいと考えていま す。また、自分に何ができるのかを考え、自ら行動する力を身につけてもらいたいという願いを込めて実施しています。

「国連ESDの10年」は今年で終わります。しかし、持続可能な開発のための教育(ESD)はこれからが本番です。自ら考え行動できる人材を育成する活動に、皆様も是非ご協力ください。

 <この推進員のお話を聞きたい方は、当センターまで!>

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