地球温暖化について

 近年、世界各地で人類がこれまでに経験したことがない異常気象による災害が発生しています。地球温暖化は、気象災害だけでなく熱中症の増加や農作物の品質低下、動植物の生態系の変化など、様々な分野で影響をもたらしています。また、地球温暖化による気候変動などによって動物と人との関係が変化することで、新たな人獣感染症が発生するおそれもあることから、ワンヘルスの観点からも地球温暖化対策は重要な課題となっています。
 令和3年(令和2021年)に気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表した第6次評価報告書において、人間活動が主に温室効果ガスの排出を通して地球温暖化を引き起こしてきたことは疑う余地がないこと、大気、海洋、雪氷圏及び生物圏に広域かつ急速な変化が起こっていることが示されました。
 ここでは、このような地球温暖化に関する国内外の動向や地球温暖化の仕組みなどについて、紹介しています。
 
  1. 地球温暖化の現状(年平均気温)
    九州北部地方(山口県を含む)3か月予報【気象庁HP】
  2. 地球温暖化の将来予測
  3. 地球温暖化の仕組み
  4. 地球温暖化に関する国際的な枠組み

1.地球温暖化の現状(年平均気温)

世界の現況

 世界の年平均気温は、様々な変動を繰り返しながら上昇しており、上昇率は 100 年あたり 0.76℃となっています。
<世界の年平均気温偏差>
【出典:気候変動監視レポート(気象庁)】


 また、緯度経度 5 度の格子ごとの変化傾向を見ると、長期的な統計ではほとんどの地域で上昇しており、特に北半球高緯度域で明瞭となっています。これらの年平均気温の経年変化には、二酸化炭素などの温室効果ガスの増加等の人為起源の要因による地球温暖化の影響に、数年~数十年程度の自然変動が重なって現れているものと考えられます。
<年平均気温長期変化傾向 1891-2023>
【出典:気候変動監視レポート(気象庁)】

 
 なお、世界気象機関(WMO)や気象庁の報告によると、2022年も世界各地で様々な気象災害がみられています。
<近年の世界各地の異常気象>

【出典:令和6年版環境・循環社会・生物多様性白書(環境省)】

日本の現況

 日本の年平均気温は、様々な変動を繰り返しながら上昇しており、上昇率は 100 年あたり 1.35℃となっています。
<日本の年平均気温偏差>
【出典:気候変動監視レポート(気象庁)】

福岡県の現況

 福岡観測所における年平均気温は、様々な変動を繰り返しながら上昇しており、上昇率は100年あたり2.5℃となっています。
<福岡の年平均気温>
 
【出典:九州・山口県のこれまでの気候の変化(観測成果)(福岡管区気象台)】
 
2.地球温暖化の将来予測

世界の将来予測

 IPCC第6次評価報告書(2021)によると、世界平均気温は工業化前と比べて、2011~2020で1.09℃上昇しています。
 また、陸域では海面付近よりも1.4~1.7倍の速度で気温が上昇し、北極圏では世界平均の約2倍の速度で気温が上昇するとしています。
 特に最近30年の各10年間の世界平均気温は、1850年以降のどの10年間よりも高温となっています。中でも1998年は世界平均気温が最も高かった年でした。2013年には2番目に高かった年を記録しています。
 今後、温室効果ガス濃度がさらに上昇し続けると、今後気温はさらに上昇すると予測されています。IPCC第6次評価報告書によると、今世紀末までに3.3~5.7℃の上昇(SSPD-8.5)と予測されています。
 このような地球温暖化による気候変動などによって、降水量や海面水位の変化、生態系の喪失といった自然界における影響だけでなく、インフラや食料不足、水不足など人間社会を含めて深刻な影響が起こると想定されています。



【出典:世界平均気温の変化予測気候変動による将来の主要なリスク(全国地球温暖化防止活動推進センター)】

日本の将来予測

 気候変動の影響として2100年末に日本で予測されているものとして、気温上昇や災害、生態系の変化のほか、健康被害などが発生すると予測されています。
<2100年末に予測される日本への影響>
【出典:2100年末に予測される日本への影響(全国地球温暖化防止活動推進センター)】

気候変動の影響(現在・将来)【環境省HP】
 地球温暖化による全国各地の影響等について、気象予報士がわかりやすく解説しています。
 
3.地球温暖化の仕組み

地球温暖化の仕組み

 太陽から地球に降り注ぐ光は、地球の大気を素通りして地面を暖め、その地表から放射される熱を大気中に存在する二酸化炭素(CO2)、メタンなどの「温室効果ガス」が吸収し、大気を暖めており、もし大気中に「温室効果ガス」がなければ、地球の平均気温はマイナス19℃くらいになると言われています。
 文明が発達し、人間の活動が活発になるにしたがって、この「温室効果ガス」が増加し、濃度が高まることによって地表付近の気温が上昇してきています。
地球温暖化のしくみ
 

温室効果ガス

 地球温暖化対策の推進に関する法律では、二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、一酸化二窒素(N2O)、ハイドロフルオロカーボン類(HFCs)、パーフルオロカーボン類(PFCs)、六ふっ化硫黄(SF6)、三ふっ化窒素(NF3)の7種類が温室効果ガスとして定められています。
 
<温室効果ガスの種類と地球温暖化係数※>
 
4.地球温暖化に関する国際的な枠組み

世界の二酸化炭素排出量

 18世紀後半の産業革命のはじまり以降、石油や石炭、天然ガスなどの化石燃料をエネルギー源として使用するようになったことで、地中深くにあった炭素分が二酸化炭素として大気中に放出され、人為的な要素で大気中の二酸化炭素の量が急増しています。
 
<世界の二酸化炭素排出量の推移>
【出典:世界の二酸化炭素排出量の推移(全国地球温暖化防止活動推進センター)】
 

国内外の動き

 地球温暖化は、地球規模で対応が必要な問題であることから、多国間での合意形成を図り、確実に対策を進めていく必要があります。
 このため、1992年に大気中の温室効果ガス濃度を安定化させることを目標とする「国連気候変動枠組条約(UNFCCC)」が採択され、世界は地球温暖化対策に世界全体で取り組んでいくことに合意しました。同条約に基づき、国連気候変動枠組条約締約国会議(COP)が1995年から毎年開催され、地球温暖化対策の推進に向けて協議・決定を行っています。
 2015年に開催されたCOP21では、平均気温上昇を産業革命以前に比べ2℃未満に抑え、1.5℃に抑える努力をすることを世界共通の目標とそ、2020年以降の温室効果ガス排出削減等に、先進国・途上国の区別なく全ての締約国が参加して取り組むことに合意するパリ協定を採択しました。
 国は、2020年に2050年カーボンニュートラル(2050年までに温室効果ガスの排出を全体として、ゼロにすること)を宣言しています。
地球温暖化に関する国内外の主な動向
 国連気候変動枠組条約締約国会議(COP)やIPCC(気候変動に関する政府間パネル)など国内外の主な動きについて掲載しています。
※カーボンニュートラル
 二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの排出量「+CO2」から、植林・森林管理などによる吸収量「-CO2」を差し引いて、合計を実質ゼロにすること。
【出典:カーボンニュートラルとは(環境省)】

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