福岡県の家庭部門における二酸化炭素排出量は、県全体の約1割を占めています。
家庭の省エネルギーを進めるうえで重要な要素である暖冷房エネルギーを少なくするためには、住宅そのものを省エネ住宅にすることで、大きな効果を得ることができます。
このため、住宅のエネルギー消費量を大きく減らすことができるZEH(ゼッチ)の普及や既存住宅の省エネ改修が求められています。
【出典:「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」(経済産業省資源エネルギー庁)】
【出典:「省エネ住宅」で快適と安心を買おう」(環境省)】
ZEH(ゼッチ)とは?
ZEH(ゼッチ)とは、Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の略称で、高断熱・高気密化や高効率設備によって使うエネルギー減らしながら、太陽光発電などでエネルギーを創り出し、年間で消費する住宅の一次エネルギー消費量(空調・換気・照明・給湯で使用するエネルギー消費量)を正味(ネット)でゼロにすることを目指した住宅のことです。
ZEHは、その住宅のエネルギー収支の状況に合わせて、4段階で定義されています。
(1)ZEH(ゼッチ)
年間の一次エネルギー消費量が正味ゼロまたはマイナスの住宅で、以下の①~④のすべてに適合した住宅
①ZEH強化外皮基準
②再生可能エネルギーを除き、基準一次エネルギー消費量から20%以上の一次エネルギー消費量削減
③再生可能エネルギーの導入(容量不問)
④再生可能エネルギーを加えて、基準一次エネルギー消費量から100%以上の一次エネルギー消費量削減
(2)Nearly ZEH(ニアリー ゼッチ)
ZEHに限りなく近い住宅として、年間の一次エネルギー消費量をゼロに近付けた住宅で、以下の①~④のすべてに適合した住宅
①ZEH強化外皮基準
②再生可能エネルギーを除き、基準一次エネルギー消費量から20%以上の一次エネルギー消費量削減
③再生可能エネルギーの導入(容量不問)
④再生可能エネルギーを加えて、基準一次エネルギー消費量から75%以上100%未満の一次エネルギー消費量削減
(3)ZEH Ready(ゼッチ レディ)
ZEHを見据えた先進住宅として、外皮の高性能化及び効率的な省エネルギー設備を備えた住宅で、以下の①~④のすべてに適合した住宅
①ZEH強化外皮基準
②再生可能エネルギーを除き、基準一次エネルギー消費量から20%以上の一次エネルギー消費量削減
③再生可能エネルギーの導入(容量不問)
④再生可能エネルギーを加えて、基準一次エネルギー消費量から50%以上75%未満の一次エネルギー消費量削減
(4)ZEH Oriented(ゼッチ オリエンテッド)
都市部狭小地*に建築された住宅のうち、外皮の高性能化及び効率的な省エネルギー設備に加え、更なる省エネルギーの実現に向けた措置を講じた住宅で、以下の①及び②のいずれにも適合した住宅
①ZEH強化外皮基準
②再生可能エネルギーを除き、基準一次エネルギー消費量から20%以上の一次エネルギー消費量削減
*都市部狭小地とは、北側斜線制限の対象となる用途地域(第一種及び第二種低層住居専用地域並びに第一種及び第二種中高層住居専用地域)等であって、敷地面積が85㎡未満である土地。ただし、平屋建ての場合は除く。
※集合住宅のZEH(ZEH-M(ゼッチ・マンション)の定義等については、こちらを参照ください。
ZEH化のメリット
ZEHを実現することで、大きく以下の3つのメリットがあります。
ZEHによる光熱費と健康への効果(国土交通省).pdf
1.快適・健康性
高断熱の住宅は、室温を一定に保ちやすいため、夏は涼しく、冬は暖かい、快適な生活が送ることが可能。
さらに、冬は、効率的に住宅全体を暖められるので、急激な温度変化によるヒートショックによる心筋梗塞等の事故を防ぐ効果もある。
2.経済性
高断熱性や空調等の高効率化によるエネルギー消費量の削減に伴い、月々の光熱費を削減することが可能。
さらに、太陽光発電等の創エネで売電を行った場合収入を得ることも可能。
3.レジリエンス
台風や地震等、災害の発生に伴う停電時においても、太陽光発電や蓄電池を活用すれば電気を使うことができ、非常時でも安心な生活を送ることが可能。
さらに、高効率な空調等は、より少ないエネルギー量で使用でき、電力の節電が可能。
既存住宅の省エネ改修
天井・壁・床などの断熱施工や開口部の断熱施工(窓の交換、内窓設置、ガラスの交換など)を行うことで外気の温度や熱を室内に伝えにくくすることができます。
省エネ改修により高断熱性が確保されると、冷暖房の効きが良くなるほか、住宅の部屋ごとの温度差が小さくなり、結露やカビの発生を抑えるとともに、室温の差による体への負担を小さくなるため、健康で快適に暮らすことができます。
【出典:「COOL CHOICE(エコ住宅キャンペーン)」(環境省)】
国の支援事業
ZEHについては、その普及を目的とした国の支援事業があります。詳しくは、以下のホームページをご覧ください。
2023年度[令和5年度]3省連携事業パンフレット.pdf
2023年の経済産業省と環境省のZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)補助金について.pd
(1)ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)、LCCM(ライフ・サイクル・カーボン・マイナス)住宅関連事業(補助金)について【国土交通省】
(2)次世代ZEH+(注文・建売・TPO)実証事業【経済産業省】
(3)住宅のZEH・省CO2化促進事業(うちZEH化支援事業)【環境省】
(4)こどもエコすまい支援事業【国土交通省】
(5)次世代HEMS実証事業【経済産業省】
省エネ改修については、その普及を目的とした国の支援事業があります。詳しくは、以下のホームページをご覧ください。
省エネリフォームの3つの支援策 3省パンフレット.pdf
住宅取得に使える3つの支援策(国土交通省).pdf
(1)長期優良住宅化リフォーム推進事業【国土交通省】
(2)住宅のZEH・省CO2化促進事業(うち断熱リフォーム支援事業)【環境省】
(3)こどもエコすまい支援事業【国土交通省】
(4)高効率給湯器導入促進による家庭部門の省エネルギー推進事業費補助金【経済産業省】
(5)住宅の断熱性能向上のための先進的設備導入促進事業【経済産業省】、断熱窓への改修促進等による家庭部門の省エネ・省CO2加速化支援事業【環境省】
県の取組
①福岡県こどもリノベ補助金
福岡県内で、若年世帯又は子育て世帯が購入した既存住宅や、若年世帯又は子育て世帯が同居する親世帯の持家に対して、子育てしやすい住宅にリノベーションする工事について、その費用の一部を補助します。
②福岡未来づくり住宅
福岡県は、省エネ住宅の普及促進を行うため、ハウスビルダーとして「福岡未来づくり住宅」の供給を行う東宝ホーム株式会社やPPA事業者として供給住宅への太陽光発電の設置を行う株式会社シェアリングエネルギーと省エネ住宅等の普及に関する協定を締結し、ZEH基準を超える省エネ性能を有し、PPAにより太陽光発電設備を導入した福岡未来づくり住宅の普及促進を行っています。
【協定締結先】
ハウスビルダー:東宝ホーム株式会社(北九州市)
PPA事業者:株式会社シェアリングエネルギー(東京都)
③福岡県木造戸建て住宅性能向上改修費補助金
福岡県では、市町村を通じて、耐震性のない木造戸建て住宅を対象とする性能向上改修工事(耐震改修工事とあわせて行う省エネ改修工事)等に要する費用の一部を補助しています。
補助の実施状況、補助対象要件、補助金額等は市町村により異なりますので、お住まいの市町村にご確認ください。
木造戸建て住宅を対象とする耐震化促進の取組み
④その他
住宅の省エネルギー化に関する制度等については、県HP(こちら)をご覧ください。
国等へのリンク先
○COOL CHOICE(みんなでエコ住宅チャレンジ)【環境省】
○COOL CHOICE(エコ住キャンペーン)【環境省】
○ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)【経済産業省資源エネルギー庁】
○住宅ローン減税【国土交通省】